おはなの話。
空が青く晴れたから、お雛さまを出そう。
小さな内裏雛なので、出し入れは苦にならない。ムスメが家を出て7年、主無きお雛様を飾るのも、すっかり習慣となった。
緋の毛氈、雛屏風、さまざまなお飾りと一緒に出てきた、薄紙の包みを開けば、桃の枝。
去年しまったまま、しおれた気配もないのは、布でできた造花だからである。
ムスメにとって曾祖母にあたる人が、初めての曾孫の誕生を喜んで、作ってくれたものだ。
丹念に、細部まで手を抜かずにこしらえてある。
2、3度しか会ったことはないが、サバサバした気持ちのいいおばあさんだった。
頼まれて着物を縫ったり、近所の子供にお習字を教えたり、手まめで器用な人だったらしい。
やがて私は離婚して、姻戚関係も絶えた。
元亭主に関わるものは、バカスカ捨てた私だが、この桃の花は捨てる気になれない。
曾孫の成長を見ずに亡くなったひいおばあさん。
桃色に染めた絹を、ひとつひとつ花びらに切り抜いている、その様子を想像すると、やっぱりそれはできない、と思う。
少し色褪せた桃の花を、今年も花瓶に活ける。


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小さな内裏雛なので、出し入れは苦にならない。ムスメが家を出て7年、主無きお雛様を飾るのも、すっかり習慣となった。
緋の毛氈、雛屏風、さまざまなお飾りと一緒に出てきた、薄紙の包みを開けば、桃の枝。
去年しまったまま、しおれた気配もないのは、布でできた造花だからである。
ムスメにとって曾祖母にあたる人が、初めての曾孫の誕生を喜んで、作ってくれたものだ。
丹念に、細部まで手を抜かずにこしらえてある。
2、3度しか会ったことはないが、サバサバした気持ちのいいおばあさんだった。
頼まれて着物を縫ったり、近所の子供にお習字を教えたり、手まめで器用な人だったらしい。
やがて私は離婚して、姻戚関係も絶えた。
元亭主に関わるものは、バカスカ捨てた私だが、この桃の花は捨てる気になれない。
曾孫の成長を見ずに亡くなったひいおばあさん。
桃色に染めた絹を、ひとつひとつ花びらに切り抜いている、その様子を想像すると、やっぱりそれはできない、と思う。
少し色褪せた桃の花を、今年も花瓶に活ける。


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我が家ではもう飾ることはありませんね~
どこか押し入れの隅に眠っていると思います。
思いでの品ですね。
段飾りで、出すのもしまうのもほとんど私ひとりが。
コンパクトなのにしておけば良かったと思う今日この頃。いや毎年。
お雛様は華やかで素晴らしい。
菱餅に雛あられにちらし寿司。
雛祭り、お楽しみ下さい。
うちの実家にも私と妹のお雛様がしまいっぱなしになっていますね。
久しぶりに見たいけれどどうなっているかなあ。
季節の移り変わりを楽しむ生活をなさっている、とっしー様。
1年おきでも出してらっしゃるのは素晴らしいです。ぜひお続けください。
お雛様は祖母である私の母の手作りです。
有難いことだと思います。