2.26本。
2月26日といえば、2.26事件。
学生時代から歴史はサッパリなので、うっかりしたことを書くとボロが出る。
さてどうしようかな、と思っていたら、2.26事件を知らなかった浪人生が主人公の、この本を思い出した。

(「蒲生邸事件」宮部みゆき著 文春文庫他)
主人公は、受験を目前に控えていながら、歴史の知識がほとんどない、たよりない若者である。
自らの無知をてんとして恥じず、人の好意をちゃっかり当てにする彼に対して、大人の読者は感情移入しにくいだろう。
つづめて言えば
まったく、イマドキの若いヤツは…
としか言いようのない主人公なのだ。
むろん小説の常として、彼も経験を通じて成長するが、そもそもこの著者には、少年が活躍する作品が多い。
それも登場の瞬間から大人びて冷静で、自分の弱さも世の不条理も、きちんと理解したデキスギ君ばかりなのである。
のび太的な主人公はむしろ少数派だ。
この小説の主人公、孝史のダメダメさも、あくまで平成生まれのイマドキ具合の表現であり、ファンタジーの味付けなのだろう。
大人から軽視される少年少女が、知恵と機転で事態を見事にひっくり返していく爽快さ。
小さきもの、弱きものに注ぐ優しい視線は、豊かなストーリー造形と併せてこの著者の魅力であるが、それにしても理想化し過ぎではないか。
少年なんて、バカで衝動的で、一寸先も想像できない生きものである。
そう思うのは私が、子供の現実を目の当たりに育ててきた、母親であるからかもしれない。
平成と昭和を描いた作品も発表から25年、時代は令和である。

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学生時代から歴史はサッパリなので、うっかりしたことを書くとボロが出る。
さてどうしようかな、と思っていたら、2.26事件を知らなかった浪人生が主人公の、この本を思い出した。

(「蒲生邸事件」宮部みゆき著 文春文庫他)
主人公は、受験を目前に控えていながら、歴史の知識がほとんどない、たよりない若者である。
自らの無知をてんとして恥じず、人の好意をちゃっかり当てにする彼に対して、大人の読者は感情移入しにくいだろう。
つづめて言えば
まったく、イマドキの若いヤツは…
としか言いようのない主人公なのだ。
むろん小説の常として、彼も経験を通じて成長するが、そもそもこの著者には、少年が活躍する作品が多い。
それも登場の瞬間から大人びて冷静で、自分の弱さも世の不条理も、きちんと理解したデキスギ君ばかりなのである。
のび太的な主人公はむしろ少数派だ。
この小説の主人公、孝史のダメダメさも、あくまで平成生まれのイマドキ具合の表現であり、ファンタジーの味付けなのだろう。
大人から軽視される少年少女が、知恵と機転で事態を見事にひっくり返していく爽快さ。
小さきもの、弱きものに注ぐ優しい視線は、豊かなストーリー造形と併せてこの著者の魅力であるが、それにしても理想化し過ぎではないか。
少年なんて、バカで衝動的で、一寸先も想像できない生きものである。
そう思うのは私が、子供の現実を目の当たりに育ててきた、母親であるからかもしれない。
平成と昭和を描いた作品も発表から25年、時代は令和である。

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あまり利口な少年・・て可愛いくないですね。
で、元少年の私は少年の実態を知っているだけに少年の過大評価は受け入れられないんです。
よって彼女の少年物は敬遠しちゃいます。
彼女にはジジイ小説を書いて欲しい。
あ、ババア物でもいいけど。
基本的に私は彼女が好きだから。
時間をテーマにしたSF小説、私的TOP10♪の第五位の作品が宮部みゆきの「蒲生邸事件」デス。
第18回日本SF大賞受賞、第116回直木賞候補。
最近は全然SFを書いてない宮部みゆき女史にはもっとSF書いて欲しいです。
ちなみに、他はコチラ、お暇な時にご覧下さいマセ→http://ogurin1961.blog129.fc2.com/blog-entry-9423.html
コメントありがとうございます。
面白く読めますように。
男女きょうだいを育てて思いますが、男の子はちょっとぼーっとしてるくらいがかわいいです。
大人の男性も、あまり目から鼻へ抜けるような人は、ちょっとねえ。
そうなんですよね~。そして対照的に、大人の女性、特にオバサンに向ける目が冷たくて厳しいんです。
一時は夢中になって読んでましたが、めっきり読まなくなったのはそのせいかもしれません。
いろいろ書いてらっしゃいますが、私は時代小説が好きかなあ。
人物の感情表現が現代人なので、江戸時代に題を取った現代小説という感じですけどね。