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さよなら話。

団地の渡り廊下を、黒い小さな影がくぐっていく。

つばめとぶ

ツバメだ。

一瞬そう思ったけれど、見間違いかもしれない。

ここには毎年、ツバメの巣がいくつもできる。たくさんのヒナが生まれて、エサを運ぶ親ツバメの往来がにぎやかしい。

しかし、ヒナが自分で飛べるようになると、巣は用済みになり、飛び交う姿も見られなくなる。

ツバメは集まり、南へ帰る日まで、平城宮跡の広い草原で、群れで暮らすのだ。

このあたりで空を切って飛ぶツバメを見なくなって、ずいぶん経つ。

やっぱり見間違いだよね。そう思った時、さきほどの方角から、同じ黒い影が戻ってきた。

間違いじゃない、ツバメだ。

群れが南へ渡ろうというこの時期、たったひとり、なんで戻ってきたのだろう?

今年生まれたツバメの仔が、初めての旅の前に、生まれ育った場所を見に、帰って来たのかしら、なんて想像してみる。

日々を懸命に生きる野生動物に、そんな感傷は無いのだろうけれど。

飛び去った影は遠い空に消えて、今度こそ、もう戻っては来ない。

行ってらっしゃい、どうかよい旅を。

そしてまた来年、あいましょう。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2020/09/24 11:30
コメント
No title
最近ほとんど燕を観ることは無くなりました。
新興住宅では燕も巣を造ることはできないんでしょうね。
懐かしいですね。
燕が群れながら旋回する姿。
普通に感動しますよね。

ド田舎の私の地元でも燕は年々減少傾向にあります。
雀も鶯も同様です、寂しい限り・・・。

燕去るは大好きな初秋の季語です。

秋も少しずつ深まりますね。
ぢょん でんばあさんへ
今年も又あっという間に季節が進んで、ツバメの姿も見なくなりました。
野鳥好きのぢょん でんばあさん、
「行ってらっしゃい、どうかよい旅を。
 そしてまた来年、あいましょう。」優しい心使いが
 伝わって来ます。
うちの団地は毎年燕がやって来て、
巣を作ろうと建物の中に入って来ては
場所を物色します。

でも糞が汚くいやがる人もいるので、
営巣されないように防御するようになり、年々作れなくなっています。

私は多少汚れても作ってもいいと思うんですけどねぇ。難しいところです。

それにしても、
平城京に集まって過ごしてるんなんて
知りませんでした。
近くで見てみたい。
ツバメと言えば
JR奈良駅の一階の階段の登り口の天井にツバメが巣を作っていたな。

ツバメの高速飛行はいつ見てもカッコイイ。
家にも来てくれないかな。

ぢょん でんばあ様、また、来年会えますよ。
Re: 燕が群れながら旋回する姿。
オグリン♪様

夕刻、平城宮跡を横切ることがあり、ツバメの群れを偶然目にしたことでした。

素晴らしいものを見たと思いました。
Re: ぢょん でんばあさんへ
和ちゃん朗人さま

今年はとくに空を見上げることが多かった気がします。

地上が息苦しくて…。
Re: タイトルなし
うさきち様

うちの団地は苦情を言う人が少ないのかな?工事の時なんかも、ツバメの巣を気にしているように見えます。

平城宮跡は、ツバメに限らず野鳥の楽園なんですよ。枯野の野鳥も乙なものです。お帰りの際はぜひ。
Re: ツバメと言えば
rockin'様

ツバメの巣を大事にしている会社やお店を見るとホッとします。

ここで買物しようと思います。
Re: No title
Carlos様

今朝のニュースでは、スズメも巣作りの場所がなくて、数を減らしているとか。

民家の構造が変わったせいだそうです。

コメント返信順が遅くなってすみません。

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