さよなら話。
団地の渡り廊下を、黒い小さな影がくぐっていく。

ツバメだ。
一瞬そう思ったけれど、見間違いかもしれない。
ここには毎年、ツバメの巣がいくつもできる。たくさんのヒナが生まれて、エサを運ぶ親ツバメの往来がにぎやかしい。
しかし、ヒナが自分で飛べるようになると、巣は用済みになり、飛び交う姿も見られなくなる。
ツバメは集まり、南へ帰る日まで、平城宮跡の広い草原で、群れで暮らすのだ。
このあたりで空を切って飛ぶツバメを見なくなって、ずいぶん経つ。
やっぱり見間違いだよね。そう思った時、さきほどの方角から、同じ黒い影が戻ってきた。
間違いじゃない、ツバメだ。
群れが南へ渡ろうというこの時期、たったひとり、なんで戻ってきたのだろう?
今年生まれたツバメの仔が、初めての旅の前に、生まれ育った場所を見に、帰って来たのかしら、なんて想像してみる。
日々を懸命に生きる野生動物に、そんな感傷は無いのだろうけれど。
飛び去った影は遠い空に消えて、今度こそ、もう戻っては来ない。
行ってらっしゃい、どうかよい旅を。
そしてまた来年、あいましょう。

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ツバメだ。
一瞬そう思ったけれど、見間違いかもしれない。
ここには毎年、ツバメの巣がいくつもできる。たくさんのヒナが生まれて、エサを運ぶ親ツバメの往来がにぎやかしい。
しかし、ヒナが自分で飛べるようになると、巣は用済みになり、飛び交う姿も見られなくなる。
ツバメは集まり、南へ帰る日まで、平城宮跡の広い草原で、群れで暮らすのだ。
このあたりで空を切って飛ぶツバメを見なくなって、ずいぶん経つ。
やっぱり見間違いだよね。そう思った時、さきほどの方角から、同じ黒い影が戻ってきた。
間違いじゃない、ツバメだ。
群れが南へ渡ろうというこの時期、たったひとり、なんで戻ってきたのだろう?
今年生まれたツバメの仔が、初めての旅の前に、生まれ育った場所を見に、帰って来たのかしら、なんて想像してみる。
日々を懸命に生きる野生動物に、そんな感傷は無いのだろうけれど。
飛び去った影は遠い空に消えて、今度こそ、もう戻っては来ない。
行ってらっしゃい、どうかよい旅を。
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新興住宅では燕も巣を造ることはできないんでしょうね。
懐かしいですね。
ド田舎の私の地元でも燕は年々減少傾向にあります。
雀も鶯も同様です、寂しい限り・・・。
燕去るは大好きな初秋の季語です。
秋も少しずつ深まりますね。
野鳥好きのぢょん でんばあさん、
「行ってらっしゃい、どうかよい旅を。
そしてまた来年、あいましょう。」優しい心使いが
伝わって来ます。
巣を作ろうと建物の中に入って来ては
場所を物色します。
でも糞が汚くいやがる人もいるので、
営巣されないように防御するようになり、年々作れなくなっています。
私は多少汚れても作ってもいいと思うんですけどねぇ。難しいところです。
それにしても、
平城京に集まって過ごしてるんなんて
知りませんでした。
近くで見てみたい。
ツバメの高速飛行はいつ見てもカッコイイ。
家にも来てくれないかな。
ぢょん でんばあ様、また、来年会えますよ。
夕刻、平城宮跡を横切ることがあり、ツバメの群れを偶然目にしたことでした。
素晴らしいものを見たと思いました。
今年はとくに空を見上げることが多かった気がします。
地上が息苦しくて…。
うちの団地は苦情を言う人が少ないのかな?工事の時なんかも、ツバメの巣を気にしているように見えます。
平城宮跡は、ツバメに限らず野鳥の楽園なんですよ。枯野の野鳥も乙なものです。お帰りの際はぜひ。
ツバメの巣を大事にしている会社やお店を見るとホッとします。
ここで買物しようと思います。
今朝のニュースでは、スズメも巣作りの場所がなくて、数を減らしているとか。
民家の構造が変わったせいだそうです。
コメント返信順が遅くなってすみません。