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けーぷの話。

マイド~!

いつものように勝手口からズカズカ入っていくと、母が茶の間にいない。

おかーさーん…何してんの?

ふすまを開けたら、仏間の押入の前でぺたんと座って、なにやらゴソゴソやっている。

何って見ればわかるでしょ 片付けですよ

物に埋もれた物屋敷に満足している、物ババアのおばーちゃんも、定期的にかくてはあらじの念に駆られて、こんな風に持物を引っぱり出す。

出したからといって捨てるでもなく、出てきたところにしまい直すだけの行為を、片付けと呼ぶのはおかしいが、言うと怒りだすので、言わない。

床一面に、見たことのない品物が広がっている。

この人の娘に生まれて60年、いまだに未知の物品がぞろぞろ出てくるおそろしさよ。

エプロンにタオル、箱に入ったままの敷布…ここは布製品の墓場…もとい収納場所らしい。

やけにでっかいヨダレカケのようなものがあって

何これ 大人のヨダレカケ…んなわけないか

ケープよ 化粧ケープ

ハハア~ あったね昔 そういうの

今のように毎日じゃぶじゃぶシャンプーができなかった昭和の時代、毎朝のブラッシングは女性のたしなみであった。

どうしても落ちる抜け毛を、お洋服にくっつけないために、肩にかけていたのがケープなのだ。

けしょうけーぷのこうよう

さっぱり使わなくなったねエ 

そういえばアタシ このごろ秋口にメチャクチャ髪が抜けるんだよね

ケープ使いなさいよ あげるわよ

ええ~?使わないよ~

いいから いいから…

ちっとも良くはないが、老母はいそいそと、フランス刺繍のケープをたたんで、紙袋に入れる。

こうしてまた、資産が移動するのであった。


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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2023/10/02 11:30
コメント
懐かしい!
ケープ!
母も使ってました、刺繍もあったなぁ
古いものはどこかエレガントですね。
私が毎朝肩にかけているのはタオルです(^-^;
No title
化粧ケープって、髪の毛が服に付かないようにするって優雅な物ですが、使わないで新品のままなんでしょうね、物が減らないわけですね。

私の優雅な物やけど、一生使わないだろうなという物は、母からもらったビーズのクラッチバッグ(着物用)です。
No title
物持ちのいいおばあちゃん。
いつもおかしくて・・・
ケープお使いなさいよせっかくのプレゼントなんですから。
所有物の移動でっすか~
No title
うちの母も使っていました!
子どもの頃はケープってちょっと憧れでした。
懐かしいわ〜。
だけど、いつの間に皆さん使わなくなって・・・
なぜでしょうねぇ。
私個人の理由としては、めんどくさっ!だからです〜。
Re: 懐かしい!
viola様

懐かしいですよね~。

記憶の中の母は三面鏡に向かってケープをしている姿。今の母とはあんまり重なりません。
Re: No title
レツゴ―一匹様

クラッチは使わないですよね~。

きっときれいなものなんでしょう。なにか使い道ないかしら。
Re: No title
Carlos様

母のアレは物持ちがいいとかそういうレベルではないですね~。

まだまだどこかに何か隠してると思うとおそろしいです。
Re: No title
さとちん様

ちょっと思いつくのは、キューティクルの発見です。

ブラッシングのし過ぎは髪に悪いっていうことになったんですよ確か。

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