ゲンペイ本。
ゲンペさんが亡くなった。
ヘンなおじーさんだった。
眠そうな目をした今の容貌からは想像しにくいけど、若い時にはゲージツカを目指し、とんでもない貧乏をして、サンドイッチマンをやったり、そうかと思えばアンダーグラウンドの活動をしたり、若気の至りで警察のお世話になったりしたという。
40を過ぎて、普通ならもう落ち着こうかという年齢になってから、大きな賞をいきなりもらって、世の真ん中に飛び出てきたゲンペさん。
トマソンだの新解さんだの老人力だの、思いつきが次々と流行っちゃったゲンペさんだが、離婚して小さい娘さんと二人暮らしだったころの、父子家庭の実感を下敷きにした小説が好きだった。
小説の名義はゲンペさんじゃなく、オツジカツヒコ。

短編集で、特に思い出深いのは、居間や風呂場、廊下や玄関が、あちこちで別々の不動産物件として賃貸に出ている世界を描いた「風の吹く部屋」。
主人公父子は国分寺の「居間」で暮らし、高円寺の「風呂場」へ電車で通い、千葉の我孫子で新しく「廊下」を借りることを考えている。
妄想に駆られがちで、決して明朗とはいえない性格のオツジお父さんと、肌寒い小説の世界で、一緒に何かに耐えているような、おかっぱ頭の小さい胡桃子(くるみこ)ちゃんがいじらしい。
1983年中央公論社刊、名作だと思うけど文庫化もされておらず、絶版らしい。
尾辻克彦こと赤瀬川原平氏のご冥福を祈ります。

にほんブログ村

日記・雑談 ブログランキングへ
ヘンなおじーさんだった。
眠そうな目をした今の容貌からは想像しにくいけど、若い時にはゲージツカを目指し、とんでもない貧乏をして、サンドイッチマンをやったり、そうかと思えばアンダーグラウンドの活動をしたり、若気の至りで警察のお世話になったりしたという。
40を過ぎて、普通ならもう落ち着こうかという年齢になってから、大きな賞をいきなりもらって、世の真ん中に飛び出てきたゲンペさん。
トマソンだの新解さんだの老人力だの、思いつきが次々と流行っちゃったゲンペさんだが、離婚して小さい娘さんと二人暮らしだったころの、父子家庭の実感を下敷きにした小説が好きだった。
小説の名義はゲンペさんじゃなく、オツジカツヒコ。

短編集で、特に思い出深いのは、居間や風呂場、廊下や玄関が、あちこちで別々の不動産物件として賃貸に出ている世界を描いた「風の吹く部屋」。
主人公父子は国分寺の「居間」で暮らし、高円寺の「風呂場」へ電車で通い、千葉の我孫子で新しく「廊下」を借りることを考えている。
妄想に駆られがちで、決して明朗とはいえない性格のオツジお父さんと、肌寒い小説の世界で、一緒に何かに耐えているような、おかっぱ頭の小さい胡桃子(くるみこ)ちゃんがいじらしい。
1983年中央公論社刊、名作だと思うけど文庫化もされておらず、絶版らしい。
尾辻克彦こと赤瀬川原平氏のご冥福を祈ります。

にほんブログ村

日記・雑談 ブログランキングへ
スポンサーサイト
>トマソンだの新解さんだの老人力だの・・・
トマソン?
ひょっとして「純粋階段」のトマソン?
調査!
そうだ、あのトマソンだ!
一時、トマソンにのめり込んだなぁ。
そうか、亡くなられたんですね。
合掌。
尾辻克彦?赤瀬川原平?知りませんでした。
亡くなられたんですか~
とはいえ私も新解さんくらいしか読んだことありませんでしたが。
トマソンや千円札の人も同じ方とは知りませんでした。
「風の吹く部屋」は少しストーリーを聞いただけでも面白く、読んでみたくなりました。以前おっしゃっていたようにぢょん・でんばあさんの本棚にはそういった今はなかなか手に入らない書籍が並んでいるのでしょうか。
そうです。四谷階段やら天使のドアやら、トマソンの赤瀬川さんです。
トマソンにしろ新解さんにしろ老人力にしろ、今まで世に無かった、全く新しい視点の提供という点ではすごい人だったなあと思います。
尾辻克彦氏は昭和55年の芥川賞作家です。
晩年は小説はお書きにならず残念に思っていました。
私は尾辻名義の仕事がとても好きだったので、「ああ、老人力の人」みたいになっちゃったのはとても残念です。
うちの本棚は…ううう、確かに絶版ばっかりです。