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ぎんこう話。

ずいぶん家に籠ったので、年末のアレコレを片付けに街に出た。最後に回ったのが銀行である。

番号札を取り、椅子に掛けて待つ。

窓口嬢はテキパキ処理を続けているが、混雑で待ち時間が長いのは致し方ない。

思えば私も気が長くなったものだ。

この土地に越してきてすぐの頃は、待たされるのがイヤで、いつもイライラしていた。

それもそのはず、それまで住んでいたのは歩く速さ世界一の、セッカチの集まる街。

人を待たせれば、待つ間の時給を請求されかねないし、それが普通だと思っていた。

その日も私は、混んだ銀行でイライラしていた。

座る気分にもなれず、ロビーに仁王立ち、早くやれ、とばかりにカウンターの中をにらむ。

その様子を見て、警備のオジサンが寄ってくる。

もうチョットかかりますんで、おかけになって お待ちくださいナァ~

えらくノンビリした口調に、イライラが増す。

ずっと待ってるんです!もうチョットって あとどれくらいですか!

キツい口調にも、オジサンは気分を害した様子もなく、あいかわらずノンビリと

まあオクサン、そう急がんでも

およそ待たせるほうが言うことではない。

ふつうなら怒りだすところだが、私も疲れていた。こんな相手に怒ったって仕方がない。

身体から力が抜けて、無性におかしくなった。

オジサンと顔を見合わせ、アハハ…!と声を出して笑っていたら、私の番号が呼ばれた。

それからというもの、銀行で、役所で、待たされてイライラしそうになるたび

まあオクサン、そう急がんでも

オジサンの言葉をまねてみる。

私もこの土地の人間になったかな、なんて思いながら。


(店内のテレビに「南都家の一族」が流れていて退屈しないし)



本日早朝より他出のため、2016年12月27日の記事に加筆・再掲いたします。



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2020/12/27 11:30
コメント
南都家の一族!
初めて観ました。
こんなん流してるんや。

私は仕事でレジを打つのですが、
店長が、
「信用金庫のお姉さんは、どんなに人が並んでようと悠々とお金を数えてる。
あれぐらい落ち着いて、慌てなくていい。間違えるよりまし。」
と言っていて、おかげで必要以上に焦らなくなりました。

大阪じゃそんな悠長じゃ通用しないかな?


No title
気が長くなったんですか~
いらいらしてもしょうがないと思いますが、やっぱり待たされるといらいらします。
特に隣の係員と話しながらやられると、いら~とします。
もう少し私も”そんなにいそがんと~”と言う気持ちを持とうと思います。
Re: タイトルなし
うさきち様

南都家の一族、面白いですよ。

長女役の川上麻衣子さんがすごい熱演なんですよね。

Re: No title
Carlos様

カウンターの中にもいろいろ事情があるんだろうと思います。

隣の人とのお話も『これはどう処理するんですか?』って、相談してるのかも…。

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