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チョットノ本。

小文や記事のカテゴリに「ちょっといい話」というのがある。

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(↑はい、これです)

雑誌の見出しに「○○のちょっといい話」などとあるのを、見たことがおありだろう。

この、ごく普通に思える言い回しに原典があるのをご存じだろうか。

その著者を、最初に知ったのは推理小説

小説誌の批評欄で、クイーンの「Xの悲劇」と並んで、「日本のドルリー レーン」と紹介されていたのをきっかけに、作品を手に取った。

シェイクスピア俳優のドルリー レーンに対し、こちらはなんと歌舞伎の名優、中村雅楽が探偵役をつとめる。

歌舞伎の演目や梨園のしきたりなどもやさしく解説してあり、歌舞伎の世界を活写した連作を、門外漢の私も楽しく読んだ。

こんな小説を書けるのはどんな人だろう?

興味が湧いて、エッセイや演劇批評などにも手が伸びた。中の1冊がこれである。

ちょっといいはなし
(「ちょっといい話」戸板康二著 文藝春秋刊)

幅広い交友を基に、文壇・芸能・スポーツ、学界・政財界におよぶ人物の逸話をまとめたもので、当時はかなり好評を博したらしい。

大仰に言い立てるほどではないが、あの人がこんなことを、と、聞けばフッと嬉しくなる。

そうしたエピソードを「ちょっといい話」と表したのだ。

何気ないようで、なかなかできる表現ではない。

戸板康二(1915.12.14-1993.1.23)は、演劇・歌舞伎評論家、推理作家、随筆家。

探偵雅楽が忘れられ、戸板の名を聞かなくなり、残るのはちょっといい話、というのは、ちょっとさびしい話、のような気もする。



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ブックガイド | コメント(4) | トラックバック(0) | 2023/01/23 11:30
コメント
No title
ちょっといい話最近は少なくなっているんじゃないでしょうかね~
なんか悲惨な話ばっかりで・・・
ちょっといい話ないでしょうかね~
戸板康二の本は読んだことありませんね~
ラジオ番組のお題で
“ちょっとヤな話”というのがありました。“ハート・クーリング・ストーリー”とも申してました。
実際にはまあ、“他人の不幸は蜜の味”まではいかないような、同意して苦笑するような明るい話が読まれてました。

Re: No title
Carlos様

見方次第で、どんなときにもいい話はあるものじゃないでしょうか。

心して見つけていきたいなと思ってます。
Re: ラジオ番組のお題で
中林20系様

人の不幸を大っぴらに喜ぶというのもね。

SNSではそんな抑制も効かなくなるようですが。

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