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もたもた話。

月に1度の、持病の通院。

予約してうかがうので、待たされることもなく、会計まで流れるようにスムースだ。

あとは薬局に寄って終わり、と思いきや、玄関に引っかかった。

ここは個人病院なので、靴を脱いでスリッパに履き替えねばならない。そのゲタバコの前で、お爺さんがモタモタしている。

時節柄、近づくのも気が引けるので、少し離れて待つことにした。

待つついでに、手に持っていた領収書や診察券をバッグに入れ、お薬手帳を取り出して、処方箋をはさんでおく。

すべて、この後の流れるようなダンドリのためである。

それにしてもお爺さんのモタモタが長いので、つい何をしているか、見てしまった。

ゲタバコに靴をしまわずに、脱ぎ散らしたものだから、離れた場所にてんでに散らばっている。

そこへ、まるでボートに乗り移るように、足を入れようとするが、いかんせん届かない。

まず靴を手で取ればいいのに、それはイヤなのらしい。それくらいのことが軽くできた、若いころのセルフイメージが強固に残っているのだろう。

老化とは、かくも悲しく、残酷なものである。

上り口に片足を残しては、もう片方を踏みだし、届かない…という永久運動が続く。

わりに気の長い私も、さすがに付き合い切れず

ちょっと… スミマセン…

声をかけて、脇を通りぬけ、玄関を出たら、薬局の受付で…アレ?

お薬手帳が… 無い?

慌てて医院まで戻ると、ゲタバコの上、手指消毒液のポンプの隣に、見慣れた表紙。

他人様の老化を云々している場合ではない。私にも確実に、何かは訪れているのである。

明日は我が身…か…

どうやって靴を履いたのか、お爺さんはもういなかった。

おくすりてちょう



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2021/03/18 11:30
コメント
No title
歳は鶏や区内ですね。でもこればかりは思うようになりませんから。
あまり他人の世話にならないようにしたいのですが・・・
No title
スーパーや街中や家の中でも、お年寄りの人の行動で、いらっとすることは多々ありますが、
いつか通る道やと思って我慢してます。

今日は散歩へ出ようと、数歩行ったところで、マスクをしてないことに気がつき慌ててもどりました。
出掛ける時いつも何か一つ忘れるんですよねぇ~確実に近づいてます^^;


No title
このお薬手帳、かわいいですね(^^♪

お金を払うときになってやっとカバンからお財布を探す人!
あれ、あれ、なんてもたもたされると、ちょっと血圧が上がります。

Re: No title
Carlos様

子供は子供なりに、大人になっても大人同士。

年齢なりにそれぞれ人に世話になるわけですから、そこを気に病む必要はないと思いますよ。
Re: No title
レツゴ―一匹様

忘れますよね~マスク。

私はマスクを1枚、マグネットで玄関ドアに貼ってます。

Re: No title
みのじ様

もうその次だって言うのに、前の人が財布を出してないとやきもきしますね。

ほら順番ですよ、財布出して!って言いそうになります。

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