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ウサギノ本。

35才の女性が250冊の絵本を自費印刷し、友達や家族に配った。

優れた観察眼と確かなデッサン力に支えられた作品は評判を呼び、商業出版されて大ヒットする。

資産家の両親から自立することを願っていた彼女に訪れた、遅いチャンスだった。

喜ばしいことに思えるかもしれない。しかしその前には大きな挫折があった。

幼いころから身近にたくさんの動物を飼育してきた彼女は、時には動物を解剖し、剥製にして骨格を研究するなど、博物学に興味を持っていた。

女性の高等教育の必要性が、ようやく認識し始められた時代。

彼女がとりわけ興味を惹かれた菌類の精緻なスケッチを、他の研究者も当初は評価したが、研究が本格化するにつれ、彼らの態度は掌を反すように冷たくなった。

学会への参加も許されず、提出した論文は代読、それもタイトルのみだったという。

オヤジのやることといったら、昔も今も同じだ。

若い女が、ヒラヒラ周囲を飛び回っている間は目尻を下げていて、自分たちの領域に入ろうとした途端、スクラム組んで排除にやっきになる。

心血注いだ論文を黙殺された、彼女の失望は想像するに余りある。

1901年12月16日は、ビアトリクス ポターが絵本作家となった日。

ポターが創った小さなウサギは、120年の時を超え、国境を越えて、今も愛され続けている。

ぴーたーらびっとのおはなし
(「The Tale of Peter Rabbit」 1902)



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ブックガイド | コメント(12) | トラックバック(0) | 2021/12/16 11:30
コメント
No title
私の子供たちも読んだことはありませんね~
うさきちなんて言ってるわりには、絵本は読んでませんが、うちのマグカップはピーターラビットです。

長く親しまれる作品は、下地がしっかりしてるというか、確かな知識や思想があればこそなんだろうなぁと思います。
No title
120年前のお話なんですね。
先日のニュースでも、やはりこの時代でも(理数系女子)の、(特に日本)での占める割合は、世界の先進国で一番低いらしい。。
この120年前のお話が今なお日本では生きていますね。
No title
こんばんは。
映画で見ました。(DVD)
主に絵本作家になってからの恋愛面が中心でした。作家になる前の話は知りませんでした。
この話を知ると映画の感動もより深くなります。
No title
興味深い話です。
こちらは性別の他に人種もあります。
でも、日本に比べて社会的な活動家の勢いがあるから、わりかし早く表面は改善されていくような気がします。
No title
映画で見ました。
こういう何かを作り出す人って、普通の感覚と違うものを持っているので、出る杭は打たれる・・・これが女性なら特に理解されないんでしょうね。
Re: No title
Carlos様

私自身は子供のころ読みませんでしたが、福音館書店での出版は50年になるそうです。

ハガキほどの小さな本ですので、子供たちはよく読みました。
Re: タイトルなし
うさきち様

アラー、うさきち様だけに、てっきり読んでらっしゃるかと(笑)。

絵がうまいんですよね~動物の顔した人間じゃなく、ちゃんと服を着た動物になってて感心します。
Re: No title
アイハート様

女の子が理系に進もうとすると、進路が限られるとか、婚期を逸するからと親が止めたりするらしいですね。

うちは娘が理系で、息子が文系なんですよ。
Re: No title
さんいー様

そういえば映画になりましたね。

ずいぶん地味な恋愛だったようで、映画にできたのが驚きでした。
Re: No title
artpants様

日本は初等教育が進んでいたのに、女性の社会進出になぜこう時間がかかるのか、ふしぎですね。

社会全体のマザコン体質が問題なのかなと思ったりします。
Re: No title
レツゴ―一匹様

ポター自身は案外したたかに、ピーターラビットのグッズを作って売ったり、してたらしいですけどね。

ナショナルトラストの大本を作った人ですし、自然保護の資金が必要だったんでしょう。

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