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アカゲノ本。

今ほど多様な価値観のなかった、学生時代。

運動が苦手で、人を惹きつける快活さもない私は、選択の余地なく、文学少女になった。

昼休みに外にも出ず、本を読んでいる女子は、各クラスに2、3人いる。

似たもの同士、話すようになると、彼女たちの多くが「赤毛のアン」のファンだった。

文学全集に掲載された抄訳しか読んでいなかったので、いそいで文庫本のシリーズを買って読んだ。これもお付き合いである。

正直なところ、私はこのヒロインが、あまり好きになれない。

登場するなり自分の理屈で、さんざん周囲を振り回したあげく、見栄や物欲や好奇心には必ず負けてしまう。

「想像の余地」というキーワードはステキだけれど、だったらなぜ、同時に失敗の可能性を予測しないのか、不審に思えた。

そもそも夢見がちな女の子などより、働き手が欲しかった老兄妹の負担は、増す一方である。

悲観的な私は、読みながら心配していたが、あんのじょう心臓が悪かったらしきマシューは、早々に亡くなってしまうではないか。

とはいえ読めばやはり先が気になるから、「アンの青春」「…愛情」「…幸福」と次々と読破したものの、残念ながら第一印象は拭えなかった。

お付き合いで読んだ、という経緯も、出会いとしてはよろしくなかったかもしれない。

まあ、私ごときが好きでも嫌いでも、名作の誉れ高き本作の、かすり傷にもならぬであろう。

今日で作者モンゴメリの没後80年になる。

あかげのあん



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ブックガイド | コメント(4) | トラックバック(0) | 2022/04/24 11:30
コメント
No title
赤毛のアン、読んでませんね~
文学少年ではなく外を飛び回るわんぱく少年でしたので・・・
No title
赤毛のアンは、愛読書です。もちろんシリーズも、違う翻訳者のも読みました。

寂しい孤独なクスバート老兄妹をアンが幸せにしたと思っていましたが、そういう見方もあるんですね。確かにマシューの農作業の助けにはならなかったし。

大人になっていくにつれ、アンの思い通りに進みすぎて、ちょっとなぁ~と思うことはありますが、想像の余地には、失敗は想像できなかったのかな、私はアンの失敗の数々は、茶目っ気だと思っていましたが、私があの場に生きてたら、アンとは友達になりたくなかったかもしれません。
Re: No title
Carlos様

腕白少年Carlos君!

いいんですよ、読まなくっても(笑)。
Re: No title
レツゴ―一匹様

大切な本にケチをつけて、ごめんなさいね。お許しください。

巻が進むと、コンプレックスだった赤毛も、赤褐色(だったかな?)に変わって、立派な美人になっちゃうんですよね。勉強はできるし、口は立つし、ひねくれ少女だった私には、眩しかったんだと思います。

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