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つばめの話。

巣作りのツバメが、晴天の軒先で騒いでいる。

完成間近な巣の口にとまって中を検分し、ぢいぢいと注文をつけているのは雌鳥だろうか。

その周りを、まるでご機嫌を取るように右往左往するのが、雄かもしれない。

ツバメの思い出は懐かしい。

あれは社会科見学の帰りだったろうか。3年生の私たちは、学校への道を歩いていた。

曇りだした空を気にした引率の先生が、少し急ぐように促した。

小さな町の商店街の道幅いっぱい、機織りの杼のようにせわしなく、ツバメが行き交う。巣作りも終わり、盛んに餌を集める時期だったのだろう。

ヒザのあたりを低くかすめていった1羽を指して、先生がおっしゃった。

ツバメがこんなふうに低く飛ぶとね お天気が悪くなるというよ

黄色い帽子の一同がポカーンとしていると、先生は続けて

雨が近づいて空気が湿ると 虫は羽が重くて高く飛べないんですね

カンのいい数人がうなずく。

ツバメは虫を捕るでしょう だから…

なるほど!と、こんどは私にもわかった。

ツバメは餌を探す。虫は湿気で、地面近く飛ぶ。だからそれを追うツバメも低く飛ぶ。

そこに、原因から結果に続く、とても美しい考えの道筋があった。

雲間からさす陽が、すっと一筋光る道に見えるような、そんな気持ちだった。

あの一事を教わっただけで、小学校に6年通った値打ちはあった。

ツバメの巣がある家に住む人は、皆いい人に見える。今年ももうすぐ、夏がやってくる。

つばめさん



本日早朝より他出のため、昨日の記事にちなみ、2017年5月12日の記事を再掲載します。



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むかしむかし | コメント(6) | トラックバック(0) | 2021/05/22 11:30
コメント
No title
昔特急つばめというれっしゃがありましたが・・・
つばめ懐かしいです。
じょんでんばあさんこんにちは
田圃の準備が始まる前に、初めて燕が飛ぶ姿を見るとなぜか嬉しくなります。「燕が来た!」と感じます
まだ比較的に高めを飛んでいますので、きたよ~と触れ回っているようです
No title
こんばんは~。
ツバメを見るたびにユーミンの雨のステーションという曲が頭の中で流れるので困っています。
これたぶん一生流れるような気がします。(-_-;)
Re: No title
Carlos様

物心ついた頃には新幹線が走っていたので、つばめには乗ったことがありません。

ヘッドマークなどかわいらしくて素敵な特急ですね。
Re: じょんでんばあさんこんにちは
くんざん様

つばめが電線の上をかすめていくのを見ると、新しい季節を感じます!

そして田植えが始まるんですね。
Re: No title
うに子様

あれは梅雨時の歌ですよね!

私が思い出すのはハイファイセットのほうかも…。

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