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へいてん話。

人と会うために、久しぶりの通りを歩く。

あーれー?ここってこんな風だったかな?

もともとなじみのある街ではない。唯一心あての、何度か入ったことのある、ステキな喫茶店を探しながら歩くが、見つからない。

いいトシして迷子か、と覚悟しかけたとき

もしもし~ 今どこですか?

携帯が鳴って、事なきを得た。

帰り道にその場所が分かったのは、用件が済んだ余裕からだったろうか。

ポットにたっぷりの紅茶を出してくれた古い喫茶店は、白いシートで囲まれた空間になっていた。

あーあ…残念…

思わず、周りに聞こえるヒトリゴトが出る。

新型ウィルスの騒動が影響しているのか、どうかわからないが、ここのところ見慣れた店の閉店が続く。

ひと月ほど前、創業200年という地元書店が閉店したときはガックリきた。

もちろん、私などに言える筋合いはない。

喫茶店には年に何度も来なかったし、本はつい、ネットで買ってしまう。

支える行動をせずに、閉店ばかり惜しむなんて、店の人にしてみれば、勝手にもほどがある。

風が吹き込む胸を抱えて、駅までを歩く。

以前来た時より、シャッターの閉まっている店が多いのは、やっぱり気のせいじゃない。

別の工事現場の前では、制服の女学生がふたり、カラフルなポスターに見入っていた。

キャラキャラと楽しげなのは、若者向けの店ができるらしい。

若さとは、新しい店ができる楽しみ。

年を取るということは、無くなった店を惜しむ寂しさ。

そんなことを考えながら、北風の街をまだ歩く。

とよすみしょてんのかんばん
(「江戸時代から続く老舗書店、10月末で歴史に幕」)



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2021/12/18 11:30
コメント
私はケチだけど、ケチばかりじゃ世の中潤わないよなぁと思う時があります。

年を取ってきて欲しいものもそんなになくなってきたけど、できる範囲で意識的にお金を回さにゃなぁと思ったりします。
No title
無くなった店多いなぁ~と最近思うことが多いです。閉店を嘆くわりに自分も行ってなかったなと反省。
本も何でも、ネットで済ませず、店舗で買わないと、ほんまに店が無くなりますね。
No title
昔からのなじみの店が無くなるのは寂しいものですよね。
でも時代とともに変わっていくのでしょう。
昔を懐かしんでいる余裕はないのかも・・・
No title
本屋がなくなるのは寂しいけど、ビジネスとしては厳しいですよねえ。本屋さんって。
今日の帰り道
多分スマホに地図を表示して、ナビしてもらいながら目的地にたどり着いたんだと思う男性が、到着したら建物解体中で…見上げたりスマホ画面を見たりを繰り返すうちに愕然とした表情に…長い信号停止中に目の前で繰り広げられたその一連の光景は、まるで映像作品のようでした。
何屋さんがあったのか、気になりました。
Re: タイトルなし
うさきち様

私もケチ、良いように言えば消費性向が非常に低いと思います。

バカスカ物を買う実家の母みたいな人が、たまにうらやましくなります。
Re: No title
レツゴ―一匹様

こないだのレツゴーさんの記事にもありましたよね。

本屋さんはあってほしいけど、重たい本を提げて帰るのが年々しんどくなってきてます。
Re: No title
Carlos様

変わっていくからこそ、変わらないものを大事にしないといけませんね。
Re: No title
TORU様

紙の本自体需要が減っているようですからねえ。つらいことです。
Re: 今日の帰り道
中林20系様

ええー!スゴイ!ほんとに短編映画のようですね。

ぜひブログの記事になさってください!

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