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アノコロ本。

その本が出ているのは、もうせんから知っていた。調べたら、初版発行は5年も前である。

ネットで書影を見たし、書店でも手に取って

分厚い本だなあ…

予想以上のボリュームに驚いたのを覚えている。

好きな著者であるにもかかわらず、今日に至るまで読まずにいるのは、この本が著者没後に出た、単行本未収録エッセイ集であるからだ。

著作家が亡くなった後、本にまとめなかった作品を寄せ集め、売り出すことはよくある。

人気作家の訃報を追っかけるように新刊が出たりすると、あさましいというか、商魂たくましいというか、なにやら無残な気持になる。

この本はそんなことはなくて、没後じつに25年を経過して、やっと編まれた文集である。

帯に大きく、待望の作品集」とあるのも、読者が待ったというよりは、出版社が

いや~、待ったよぉ~

言っているようで、おかしい。

遺族にはおそらく、著者自身の推敲の手の入らない文章を、本のかたちにすることに、ためらいがあったのだと思う。

そして、私がこの本を読まないのもそのためだ。

本人が、出ると思っていなかった文章を、亡くなったからといって読むのは、気が進まない。

載せない理由があったかもしれない文章を、断りもなく読むのは、申し訳ない気がする。

好きな書き手だからこそ、なおさらである。

まだ読まない、そしてこれからも読まない本。

そんな本もある。

あのころ



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ブックガイド | コメント(6) | トラックバック(0) | 2022/04/22 11:30
コメント
No title
ほんとですよね
本人は出したくなかったのかもしれませんしね。
人気作家だから売れるだろうという、出版社のあさましい考えが伺えます。
そういわれると…
安部公房という作家が好きで、高額な全集を申し込んで揃えたのですが(=毎月刊行のはずが編集の難航か全30巻に12年かかりましたが)、これが作家によって書かれたすべての文章を収録するという、ファンにとってはたまらないもので、それこそ新聞などに寄稿したちょっとした文章なども全てとなると、申し込まずに入られませんでした。

でも、そういわれてると…まあこのひとはあの世で納得してくれてるとは思いますが。

No title
 書き物でもそうですが、音楽でも、ミュージシャンがなくなってから、未発表テイクとかが出るのはどうなのか?と思います。
 いや、私も司馬遼太郎がなくなってから、いろいろ買いまくりましたけど・・・。
Re: No title
Carlos様

出版不況と言われて長いですね。

新人発掘よりは定評ある作家のものを出したいのでしょうか。
Re: そういわれると…
中林20系様

もちろんファン心理も分かるんですよ。

私もこの本、何度も買って読んでしまいそうになるんです。かろうじてガマンしてる感じで…。
Re: No title
まっちゃん様

あー、音楽でもそうですか。

そっち方面は疎いので思いつきませんでした。なるほどなあ。

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