ネコノヒ本。
ある年のクリスマスにもらった1冊の本。
それはイギリスの田舎町に住む、動物の言葉を話す獣医さんのお話(→ドリトル本。)だった。
風変わりな設定を淡々と描く筆致と特徴ある挿絵に、私は夢中になった。
惜しみ惜しみ読んでも、あっという間に終わったお話の続きを求めて本屋に行くと、嬉しいことに全部で13巻もある。
それからはお誕生日に1冊、お年玉で1冊と買いそろえ、おいしい水を飲むように読み進んだ。
犬やアヒル、チンパンジーやブタと、個性豊かな動物がたくさん登場するうちに、疑問がひとつ。
ネコが出てこないのである。
ネコの居ない国の話ではない。登場人物のひとりは、飼猫のエサ売りを生業としている。
にもかかわらず、獣医の先生の周りには、親しく名前を呼ばれるネコは1匹もいないのだ。
ネコを目の敵にする犬や、ネコに追われるネズミやカナリヤといった小動物が出入りする、という事情はあるかもしれない。
うちではネコを飼っていたから、作者はネコが嫌いなのかしらと、子供心にちょっぴり寂しかったのを覚えている。
物語も終盤、先生はなんと月旅行に乗り出す。
地球で留守番の動物たちが、待ちに待った帰還を出迎えると、その懐には月の猫がいた。
先住の動物に気味悪がられ、嫌われても気にかけることなく、はじめての地球を、光る眼で眺め、音のしない柔らかな足裏で歩き回る。
長い長いこの物語で、ネコが注目された、唯一のシーンである。
危険を冒してはるばるやってきたにもかかわらず、その後このネコに関してさしたるエピソードはない。そんなところも、なんだかネコらしい。

(「ドリトル先生月から帰る」 ロフティング著 井伏鱒二訳)

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

それはイギリスの田舎町に住む、動物の言葉を話す獣医さんのお話(→ドリトル本。)だった。
風変わりな設定を淡々と描く筆致と特徴ある挿絵に、私は夢中になった。
惜しみ惜しみ読んでも、あっという間に終わったお話の続きを求めて本屋に行くと、嬉しいことに全部で13巻もある。
それからはお誕生日に1冊、お年玉で1冊と買いそろえ、おいしい水を飲むように読み進んだ。
犬やアヒル、チンパンジーやブタと、個性豊かな動物がたくさん登場するうちに、疑問がひとつ。
ネコが出てこないのである。
ネコの居ない国の話ではない。登場人物のひとりは、飼猫のエサ売りを生業としている。
にもかかわらず、獣医の先生の周りには、親しく名前を呼ばれるネコは1匹もいないのだ。
ネコを目の敵にする犬や、ネコに追われるネズミやカナリヤといった小動物が出入りする、という事情はあるかもしれない。
うちではネコを飼っていたから、作者はネコが嫌いなのかしらと、子供心にちょっぴり寂しかったのを覚えている。
物語も終盤、先生はなんと月旅行に乗り出す。
地球で留守番の動物たちが、待ちに待った帰還を出迎えると、その懐には月の猫がいた。
先住の動物に気味悪がられ、嫌われても気にかけることなく、はじめての地球を、光る眼で眺め、音のしない柔らかな足裏で歩き回る。
長い長いこの物語で、ネコが注目された、唯一のシーンである。
危険を冒してはるばるやってきたにもかかわらず、その後このネコに関してさしたるエピソードはない。そんなところも、なんだかネコらしい。

(「ドリトル先生月から帰る」 ロフティング著 井伏鱒二訳)

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

スポンサーサイト
よく内容覚えてましたね。
絵にネコばかり描くので犬好きから“犬はどうした“と言われます。
大の犬好きですが、ネコのマイペースぶり、あの太々しさが絵に物語を作ってくれる気がします😊
しばし寝かせ(笑)、ふと思い付いたのが「立川澄人」!そうだ、たしかこの人が声優やってたと思って検索し直したら出てきました。懐かしいなぁ立川澄人。
「立川清登」ですね。
子供も読むかしらと、実家から本を持ってきたんですよ。
残念ながらあまり読んでいた様子はないです。
なるほど~犬派だから犬を描くとも限らないんですね!
私はかねがね、ネコ好きはバッグやら小物やら、ネコ模様の持物を好むけれど、犬派はそうでもないという点に興味を抱いてます。
ありましたね立川澄登の歌うアニメ!懐かしいです。
あのドリトル先生は、白い三つ揃いのスーツなんか着て、やけにシュッとしていて、キャラクターも立川氏寄りでしたね。