エイゴノ本。
はじめて1冊通して読んだ英語の本は、高校の授業の教材。
主人公は、田舎の村に住む、仲良い2人の少年。1人は農家の、1人は漁師の息子である。
貧しくとも平和な彼らの村を、ある日大きな災害が襲う。家族を失い、生き残った漁師の息子が、たくましく育ち、やがて親友の妹と結婚して一家を構えるまでを描いた作品だ。
もともと子供向けらしく、文字数も少ない、薄い本だった。
英語の先生がこの本を選んだ理由は、おそらくは舞台が日本であったためだろう。
生徒たちが親近感を持って読むのでは、という、かすかな期待があったのではないか。
結論から言えば、目論見は大外れであった。
まず、主人公の少年たちの名前。
農家の息子がキノ、漁師の息子がジヤというのである。
最初の授業でヘンテコな名前が読み上げられると
え… 日本人なんでしょ…?
生徒は当惑し、教室はザワザワした。
アメリカ人の作者が、何を思ってこの名前に決めたのかわからないが、ハリウッド映画で、眼鏡をかけ、前歯が2枚飛び出した「ジャップ」を見た時のような幻滅を感じた。
人というものは、いったん違和感を持つと、あとはアラ探しになるものである。
キノがミソスープを飲んでも、ジヤが道でおじいさんに挨拶しても、玄関で深々お辞儀をしても、ヘンな感じが、ずっとなくならない。
合間合間に、西洋人が東洋的だと思っているアレ
じゃ~ん!
というドラの音が聞こえるようで、話に入り込めないのだ。
なじみのある事柄も、英語で説明すると、知らないことを言われた気がするが、そんなことも作用したかと思う。
生意気盛りの生徒らは、薄笑いでこの本を読み、和訳し、ノートに書いた。
「THE BIG WAVE」の作者は「大地」を書いたパール バック(1892.6.26-1973.3.6)。
従来取り上げられることの少ない作品だったが、東北の震災以来、改めて読まれているという。
時機を得て、良い翻訳で読んでいれば、印象が違っただろうと思うと、とても残念である。

「つなみ THE BIG WAVE」
パール・S・バック (著), 黒井 健 (イラスト), 径書房刊
著者の没後50年に際し、2017年11月5日の記事を再掲載いたします。

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主人公は、田舎の村に住む、仲良い2人の少年。1人は農家の、1人は漁師の息子である。
貧しくとも平和な彼らの村を、ある日大きな災害が襲う。家族を失い、生き残った漁師の息子が、たくましく育ち、やがて親友の妹と結婚して一家を構えるまでを描いた作品だ。
もともと子供向けらしく、文字数も少ない、薄い本だった。
英語の先生がこの本を選んだ理由は、おそらくは舞台が日本であったためだろう。
生徒たちが親近感を持って読むのでは、という、かすかな期待があったのではないか。
結論から言えば、目論見は大外れであった。
まず、主人公の少年たちの名前。
農家の息子がキノ、漁師の息子がジヤというのである。
最初の授業でヘンテコな名前が読み上げられると
え… 日本人なんでしょ…?
生徒は当惑し、教室はザワザワした。
アメリカ人の作者が、何を思ってこの名前に決めたのかわからないが、ハリウッド映画で、眼鏡をかけ、前歯が2枚飛び出した「ジャップ」を見た時のような幻滅を感じた。
人というものは、いったん違和感を持つと、あとはアラ探しになるものである。
キノがミソスープを飲んでも、ジヤが道でおじいさんに挨拶しても、玄関で深々お辞儀をしても、ヘンな感じが、ずっとなくならない。
合間合間に、西洋人が東洋的だと思っているアレ
じゃ~ん!
というドラの音が聞こえるようで、話に入り込めないのだ。
なじみのある事柄も、英語で説明すると、知らないことを言われた気がするが、そんなことも作用したかと思う。
生意気盛りの生徒らは、薄笑いでこの本を読み、和訳し、ノートに書いた。
「THE BIG WAVE」の作者は「大地」を書いたパール バック(1892.6.26-1973.3.6)。
従来取り上げられることの少ない作品だったが、東北の震災以来、改めて読まれているという。
時機を得て、良い翻訳で読んでいれば、印象が違っただろうと思うと、とても残念である。

「つなみ THE BIG WAVE」
パール・S・バック (著), 黒井 健 (イラスト), 径書房刊
著者の没後50年に際し、2017年11月5日の記事を再掲載いたします。

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私のころはもっぱら文法ばかり、何の役にも立ちませんでした。
黒井健の絵本を持ってます。
かわいらしく優しい絵柄だったのを思い出しした。
私のころは英語はグラマーとリーダーで、リーダーのほうで副読本を読みました。
役に立ったかといえばビミョーですが(笑)
どうなんでしょうね~。大地も中国人が読んだらヘンテコなとこがあるのかも。
黒井健さん、うちにはてぶくろを買いにがありました。懐かしいなァ。