もくせい話。
駅までの途中、住宅街の角を曲がると、甘く粉っぽいにおいがする。
今年もキンモクセイの季節になったのだ。

小学校の校庭の、少し日陰になったところに、3本のキンモクセイが植わっていた。
2年生のミッコちゃんと私は、木の下に散り敷いた甘いミカン色の小さな花を、そおっと拾っては、プリンのカップに集めた。
どれくらいたまったか、見せっこしながら、カップの匂いをかぐ。
いいにおい…
二人して、思わず目をつぶった。
ちょっぴりおねえさんになったような、秘密っぽい遊びの時間だった。
ところが、それからしばらくして。
トイレに芳香剤というものを置くようになったのはいつからだったか。中にキンモクセイの香りという製品があり、合成香料ながら、かなり本物に迫る再現度。
キンモクセイの香りは好まれたのか、ラベンダーやローズの製品より多く普及した。
今は昔ほど強い芳香剤は使わないが、中年以上の世代でキンモクセイ=トイレの香りと連想する人は多いと思う。
トイレでかぐキンモクセイの香りに、悪い印象はないのだけど、逆に、キンモクセイの香りに、トイレのニオイがまつわるようになってしまった。
帰り道、同じ場所を通ったら、キンモクセイの木の下に、小さい女の子が一人いた。
目をつぶって、じっとしている。
この子のかいでいるのは、混じりけのない、花のいいにおいだけなのだろう。
私が失くしたものを思うと、女の子がうらやましくてならなかった。

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今年もキンモクセイの季節になったのだ。

小学校の校庭の、少し日陰になったところに、3本のキンモクセイが植わっていた。
2年生のミッコちゃんと私は、木の下に散り敷いた甘いミカン色の小さな花を、そおっと拾っては、プリンのカップに集めた。
どれくらいたまったか、見せっこしながら、カップの匂いをかぐ。
いいにおい…
二人して、思わず目をつぶった。
ちょっぴりおねえさんになったような、秘密っぽい遊びの時間だった。
ところが、それからしばらくして。
トイレに芳香剤というものを置くようになったのはいつからだったか。中にキンモクセイの香りという製品があり、合成香料ながら、かなり本物に迫る再現度。
キンモクセイの香りは好まれたのか、ラベンダーやローズの製品より多く普及した。
今は昔ほど強い芳香剤は使わないが、中年以上の世代でキンモクセイ=トイレの香りと連想する人は多いと思う。
トイレでかぐキンモクセイの香りに、悪い印象はないのだけど、逆に、キンモクセイの香りに、トイレのニオイがまつわるようになってしまった。
帰り道、同じ場所を通ったら、キンモクセイの木の下に、小さい女の子が一人いた。
目をつぶって、じっとしている。
この子のかいでいるのは、混じりけのない、花のいいにおいだけなのだろう。
私が失くしたものを思うと、女の子がうらやましくてならなかった。

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懐かしい思い出です。
何年か前、母の来訪に合わせ、リビングに金木犀の小枝を飾って置いたら
「トイレの芳香剤、ここまで匂ってくるね」って言われてがっかり。
部屋には飾れない花になってしまい残念。
だからこの季節好きじゃありません(笑)。
キンモクセイは44の私にも不自然な香りです^^;
香りが不自然とかきつ過ぎるというのもありますが、一番好きになれない理由は、臭いAを臭いBで相殺するとゆー方法にある種の「誤魔化し」を感じたからです。
その点脱臭剤は良い。
正攻法の真っ向勝負だから。
金木犀、あちこちでいい香りを漂わせていますね。
昔、芳香剤などなかったころは、トイレの脇に金木犀を植えてたようです。
昔は水洗ではなく、汲み取り式だったため臭い消しのためだったんでしょう。
トイレイ、コール金木犀、偶然ですかね。
せっかく丹精されている自慢の植木に、その反応はガッカリですね。
今の子は、キンモクセイの芳香剤って知らないみたいですよ。廃れてるんですね。
あーあ!それは残念!
キンモクセイはお酒やお菓子の香りにも使われていますよね。
飲み食いの時には気にしないのですから、現金なものですね。
MK様のお嫌いな「トイレ」がいっぱい出てくるのもお気づきになりました?
芳香剤の話題なら、断然「ご不浄」より「トイレ」だなと思って。
というわけで、今回は「MK様キライなもの尽くし」でした~。ごめんなさいね。
人工香料、特にお花や果物の香りは苦手なのが多いですね。
私は最近流行りの香る洗剤・柔軟剤がキライです。
フローラルなオヤジと電車で隣り合わせると、これなら加齢臭のほうがナンボかマシだと思ってしまいます。
ボットン便所にナフタリンの時代を思い出すと、思えば遠くに来たもんだって感じですよねえ。
昔は奈良公園のお便所に入ると、くさいの通り越して目に沁みたほどでしたが、先日やむを得ず通りがかりに利用したところ、ちっともくさくないうえに、ペーパーなども完備しており、感激しました。
お便所のニオイ消しというより、日陰が平気な木なので、家の裏に植えることが多かったんじゃないかと想像します。
ニオイ消しを期待するには、キンモクセイの花どきは短すぎますよね。
北海道には金木犀はありませぬ(泣)なので、金木犀の香りはトイレでしかかいだことがないのです(泣)でもとっても好きな香りなんですよ。本物の金木犀の香りをかいでみたいです。
はじめまして!コメントありがとうございます。
北海道には無いんですか~。そんなに寒さに弱い木、ってイメージもないんですけどね。日陰のうすら寒いところに植わってることが多いですし。
キンモクセイの香りは、できればトイレではなく、桂花陳酒というお花のお酒なんかで味わっていただきたいですね。お菓子のアンなどにも、使われているらしいですよ。