ぶらさげ話。
クミコおばちゃんは、私が子供の頃、まだ祖父母の家にいた。
私やイモートが遊びに行くと、本を見せてくれたり、レコードをかけてくれたり、相手してくれる。
大学生のクミコおばちゃんの部屋には、見たことない本や小物が並んでいた。
楽しかったのはマンドリンを弾いてもらうことだ。
色白でぽっちゃりしたクミコおばちゃんの膝に、猫のように抱かれたマンドリンの、丸いかたちが珍しかった。
オーケストラで練習中の難しい曲を聞かされると眠くなるが、だいたいは童謡を弾きながら、細い優しい声で歌ってくれる。
知ってる曲も、知らない曲もあった。
ある日クミコおばちゃんは、いたずらっぽい表情で、ものすごく早いテンポの曲を弾き始めた。
身体を左右に揺らしながら、笑いだしそうな顔で、早口に歌う。
歌詞はほとんど聞き取れなかったが、合間合間に
♪ …ぶ~らさ~げえて~ ♬
という繰り返しがある。
私もイモートも夢中になり、
ぶ~らさ~げえて~、歌って!ぶ~らさ~げえて~、も一回!
と、何度も何度もねだっては、キャーキャー笑った。
帰りの電車でイモートと二人、♪ぶ~らさ~げえて~♬ を思い出そうとしたが、大変な早口でペラペラと歌われた歌詞は、断片しかわからなかった。
クミコおばちゃんは大学を出てしばらくお勤めをしたあと、祖父母の望まない結婚をして家を出、遠い町に行ってしまった。
それ以来身内との連絡も絶ってしまったから、もう何十年も会わない。
父母にクミコおばちゃんのことを聞くと
あれは男が悪い…
と、顔を曇らせて、何も教えてくれなかった。
♪ぶ~らさ~げえて~♬ のほかの歌詞は、わからないままである。

(ベルト モリゾ 「マンドリンを弾くジュリー」)

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私やイモートが遊びに行くと、本を見せてくれたり、レコードをかけてくれたり、相手してくれる。
大学生のクミコおばちゃんの部屋には、見たことない本や小物が並んでいた。
楽しかったのはマンドリンを弾いてもらうことだ。
色白でぽっちゃりしたクミコおばちゃんの膝に、猫のように抱かれたマンドリンの、丸いかたちが珍しかった。
オーケストラで練習中の難しい曲を聞かされると眠くなるが、だいたいは童謡を弾きながら、細い優しい声で歌ってくれる。
知ってる曲も、知らない曲もあった。
ある日クミコおばちゃんは、いたずらっぽい表情で、ものすごく早いテンポの曲を弾き始めた。
身体を左右に揺らしながら、笑いだしそうな顔で、早口に歌う。
歌詞はほとんど聞き取れなかったが、合間合間に
♪ …ぶ~らさ~げえて~ ♬
という繰り返しがある。
私もイモートも夢中になり、
ぶ~らさ~げえて~、歌って!ぶ~らさ~げえて~、も一回!
と、何度も何度もねだっては、キャーキャー笑った。
帰りの電車でイモートと二人、♪ぶ~らさ~げえて~♬ を思い出そうとしたが、大変な早口でペラペラと歌われた歌詞は、断片しかわからなかった。
クミコおばちゃんは大学を出てしばらくお勤めをしたあと、祖父母の望まない結婚をして家を出、遠い町に行ってしまった。
それ以来身内との連絡も絶ってしまったから、もう何十年も会わない。
父母にクミコおばちゃんのことを聞くと
あれは男が悪い…
と、顔を曇らせて、何も教えてくれなかった。
♪ぶ~らさ~げえて~♬ のほかの歌詞は、わからないままである。

(ベルト モリゾ 「マンドリンを弾くジュリー」)

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♪
エッサ エッサ エッサホイ サッサ
お猿のかごやだ ホイサッサ
日暮れの山道 細い道
小田原提灯ぶらさげて
ね。
え?
ものすごく早いテンポの曲だったって?
そりゃ、クミコおば様のアレンジによる「お猿のかごや」のアップテンポバージョンだったんです。
>クミコおば様・・・あれは男が悪い…
事実はどうなのかは分かりません。
ただ、クミコおば様がお幸せになられたことをお祈りするばかりです。
♪ ぶらさげて~♪
どんな歌だったんでしょうね。
懐かしい思い出なんですね。
気になりますの歌が・・・・
まさか
♪ 小田原提灯 ぶら下げて ほらやとこどっこい ほいさっさ・・・ ♪ ???
GO
残念ながら違います。
「おさるのかごや」は、私が夜道を歩く時のテーマソングですよ。間違いようがありません。
時々,叔母のことを考えます。
キャンプの歌みたいな、ボーイスカウトが歌うような感じでした。
懐かしいけど思い出せないことってありますね。
「ぶら下げて」は一回だけじゃなく、繰り返しだったので違うと思います。
時代もちょっとね…。