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まりあの話。

その昔、私が通ったのはカトリック系の幼稚園であった。

敷地にはお御堂があり、園長先生は黒いドレスのようなローブを召した神父様だが、子供のすることは普通の幼稚園と大差がない。

ただ一つ大きな行事が、クリスマスの生誕劇。キリスト誕生のドラマを、園児が演ずる。

イエス様は白いモーフにくるんだ赤ちゃん人形で、実質的な主役は聖母マリア様なのだが、このマリア役を演じたのが、私の生涯最初で最後の主役体験である。

昨日の記事でも書いたように(→ さんたの話。)、私はいたってボンヤリした子供だったが、どういうわけかセリフ覚えだけは良かった。

園で教わる歌の歌詞なども1度聞けば2番3番までバッチリ。

前の日のひょっこりひょうたん島のおもしろかったクダリをまるまる覚えてきて、翌日の園でセリフもそのままに、お友だちに再現して見せていた。

おまけに、ボンヤリゆえに、人前で緊張するということがない。

人が100人いようが、誰もいなかろうが、ボーッとして見えていないのだから、同じなのである。

そんな才能(?)を先生に見抜かれての大抜擢であった。

当時の私は知る由もなかったが、なかなかの大騒ぎであったらしい。

というのは、私と同じ学年には、地主さんのお嬢さんがいたのである。

今なら問題になりそうだが、50年前の田舎のこと。地域の実力者の子弟は、いつも別枠の特別扱いだ。

クリスマス劇の主役も、とうぜん地主のお嬢さん、と、口には出さねど皆思っていたところが、この大抜擢。

誰もが驚いたことと思う。

敬虔なクリスチャンである主任先生が、私を、と強く推してくださったと、あとで聞いた。

肝心のマリア様の演技であるが、見ていた母によると

自分のセリフだけじゃなく、他の子のセリフまで覚えてて、ずっとゴニョゴニョ、口が動いていた

というのだから、ちょっと失敗だったかもしれない。

大抜擢の責任者の主任先生は今もお元気で、年賀状を差し上げると毎年、達筆のお返事を下さる。

nativityset.jpg



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むかしむかし | コメント(6) | トラックバック(0) | 2016/12/25 11:46
コメント
No title
こんばんは

主役を演じたんですか~
セリフ覚えが良いなんて才能があったんですね。
クリスマスの懐かしい思い出ですね。
主役を
張る。
そしてセリフ覚えがいい。
それも自分のセリフだけではなくほかの人のセリフまで。

これは全体の状況を把握する能力に長けているからできることです。
そして舞台受けする容姿。

素晴らしい少女です。
さすがですね。
女優の才能があります。
羨ましい思い出
ぢょん でんばあさんの利発そうな様子が目に浮かび
眩しく思います。
羨ましい思い出話ですね。
私は恥ずかしがり屋でおとなしくて引っ込み思案な子どもで
大人になっても相変わらずでしたが、 世の中で揉まれていきながら
おばさんになったら何とガラリと180度変わってしまいましたよ。
どうして変わったかというと人と話をすると楽しいからでした。
Re: No title
Carlos様

真ん中でイエス様の人形を抱いて写っている集合写真を見ると今でも晴れがましい気持ちになります。

過去の栄光ってこういうことを言うんでしょうね。
Re: 主役を
rockin'様

容姿については一切触れていないことにご注目ください。

まあ幼稚園児なんて動いてるだけでかわいいですからね。
Re: 羨ましい思い出
すみれ様

今はたくさんの人の前に立ってご指導なさったり、テレビに出演されてるんですものね。

スゴイの一言です!

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