ぼうねん話。

そろそろ忘年会のシーズンである。
昔、フルタイムのOLだったころは、所属する部の忘年会があった。
会社の行事じゃ楽しめない、という方も多いようだが、私はわりに好きだったな、部の忘年会。
ふだんマジメなおじさんが、お酒でたわいなく赤くなっているのはおもしろい。
いたって色気のない私は、セクハラされたこともないし、会社のお金で食べて飲んで、愉快だった記憶ばかりだ。
しかし、たった一度、ちょっぴり物悲しい思い出がある。
その年の会場は取引先がらみで、宴会場に入ると、オーナーが部長に挨拶にやってきた。
みすぼらしいちょびヒゲのオッサンだが、実は飲食チェーンを経営する、なかなかのやり手。
やあやあとか今日はよろしくとかお定まりのやりとりがあってから、ヒゲのオッサンは、控えていた部下に声をかけた。
おい!キタガワ!
呼ばれてヒョコヒョコ入ってきた若い男を見て、ドキッとした。
小学校の同級生だ。
かけっこが早く、算数ができるキタガワ君は、背も高くて、女子に人気があった。
相変わらずスラッとしているが、颯爽としたところがなくなり、貧相に見える。
私はとっさに顔を背けてしまった。
キタガワ君はどうやらその店のチーフらしく、オーナーにはペコペコしながら、ウェイトレスには横柄に指示を出している。
会はなごやかに乾杯ではじまったが、その日のお酒はなんだか味がせず、私は珍しく飲み過ぎて、タクシーで帰った。
卒業文集に、「科学者になりたい」という希望を書いていたキタガワ君。
絵を描くのが好きで、「ファッションデザイナーになりたい」と書いた私は、ありふれたOLになっていた。
今なら偶然の再会を喜べたかもしれないが、私も若かったのだ。
あれから20年以上になる。キタガワ君は堂々たるオッサンになっているだろうか。

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忘年会シーズンですね。
私は明日忘年会があります。
ほろ苦い思い出でしたね
オーナーにはペコペコしているところを見られたくないことにき気付いておられたんです。
大人の対応です。
今頃お友達と楽しく飲んでらっしゃるかな?
忘年会の模様もまた記事にしてくださいね。
優しさというより、自分が見たくなかった、っていうのが正直なところです。
バリバリにバブルのOLしてる自分もちょっと恥ずかしかったし。
ああ、若かったなあ~。