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げいふう話。

おじーちゃんこと、私の父が亡くなって一年たつ。

亡くなってすぐより、しばらくたってから、いろいろと思いだすようだ。

おじーちゃんは、静か~で、いつもゆっくりとしていて、ついぞ慌てることのない人だった。

若いころから五十年近く連れ添ったおばーちゃんは、おじーちゃんが走るところを一回しか見たことがないという。

その一回は、近所のお婆さんが車にポーンと飛ばされ、側溝にハマったのを目撃した時であった。(ちなみにお婆さんは、かすり傷を負っただけで無事)

バスに乗るために走り、信号が点滅すれば走り、エレベーターの扉が閉まりそうになれば走る、セッカチの私と親子とはとても思えない。

しかしその反面、おじーちゃんはとんでもなく人騒がせな人でもあった。自分は決して慌てないが、周囲の人が慌てさせられる。

突然株で大損をしたり。

突然会社がつぶれたり。

そのタイミングがまた、絶妙に最悪なのである。

たとえば、ずーっと安全運転だったおじーちゃんが、その人生最初で最後の事故をしたのは、イモートの大学受験の前日であった。

当日会場まで車で送ってもらうはずだった(したがって電車での行き方がわからない)イモートの、その時の動揺は計り知れない。

そして、一昨年の年末から入院していたおじーちゃんが、少しずつ、少しずつ衰えていき、やがて静か~に息を引き取った、その日。

それは、うちのムスメの大学の二次試験の前日であった。

自分は慌てず、静か~でいて、周囲は大慌て。

それが最期までおじーちゃんの芸風だったんだなと思う。

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ごかぞく | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/03/08 15:54
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