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いめるだ話。

かつて私は日本のイメルダと呼ばれていた。

むろん、権力者の妻だったわけではない。

履かない靴を山と持っていた、というだけのことである。

いめるだ

マラカニアン宮殿の靴置き場より、はるかに狭いアパートの部屋に、箱に入ったままの新品の靴が何十足もあった。

忙しかった昔の私のストレス解消の方法は靴を買うこと。

洋服を買うには、試着室に入って服を脱いで試着をしないといけないが、靴なら、サイズさえ見れば買うことができる。パッと買ってスッとする、靴の買い物はスピーディーで爽快なのだ。

バブル期の大阪のOLの靴は、原色・極彩色の革に、ラメ、ラインストーン、スパンコール。

イナズマパンプスの異名を取るほどに、それはそれはハデだった。

そんな靴は、一つ買うだけで、宝の箱を手にしたようなヨロコビが湧いて、なんだか元気が出てくるのだ。

その日、仕事に疲れた私は、そんな大阪OL御用達の一つ、ブティックオーサキという靴屋さんに、またしてもフラフラと入り込んでいた。

すると、店の奥、ひときわ派手なパンプスの並ぶ一角に、非日常的な髪型に、パーティーを抜けてきたようなロングドレスの、その人はいた。

イメルダ マルコス!?

…いや違う。それは、ミワアキヒロその人であった。

髪を黄色くする前だった。普通の人じゃない感じはしたが、特別なオーラはなかったと思う。

ただがものすごくでっかいと思ったのを覚えている。

ほどなくバブルも崩壊し、むやみに靴を買うのも何となくやめてしまった。

あの頃買った靴はどこにやっちゃったんだろう。あんなハデなもの、今じゃとても履けないけど。



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むかしむかし | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/03/14 14:46
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