ソロッタ本。
子供の頃、繰り返しまき返し、読んでいた本がある。
金色の箱に入った、大判の童話全集。挿絵もカラーで、とてもきれいな本だ。
昔は、本を近所の本屋からとる、という制度があった。
本屋さんの配達の自転車が、キーと音を立ててうちの前に止まると、今月はどんなお話だろう、とドキドキしたものだ。
昔むかしのお話も、遠い知らない国のお話も、この全集で読んだ。(→ ガイコク本。)
読み聞かせの効用が喧伝される、はるか以前である。
自分でページをめくり、しげしげと挿絵に見入ったり、お姫様のつもりでセリフを言ってみたり、この本と長い長い時間を過ごした。
やがて、私の読むものが文庫本になっても、金色の箱はずっと、実家の本棚に並んでいた。
大人になってから、古書店で、同じ装丁の知らないお話を見つけて、驚いた。
あらためて見直すと、うちの全集には、ずいぶんと欠番がある。
おばーちゃんに理由を聞いても、なんだか歯切れが悪い。
推測だが、昭和40年代に定価390円は、我が家の家計には高価だったのではないか。
私が楽しみにしていると知りつつも、今月は要りません、と断ることもあったかもしれない。
飛び飛びの番号を見ていると、若いママだったおばーちゃんのエプロン姿が、目に浮かんだ。
すっかりくすんだ金色の箱のホコリを払って、実家から持ち帰り、時たま見つかる欠番を、ポツポツ買うようになった。
そして、最後の1巻。全50巻が完結したとき、私は50歳を過ぎていた。
今、この全集は、本棚の一番いい場所に、ずらりと並んでいる。

(最後の一冊、これが高かった!→「カロリーヌのぼうけん」 (オールカラー版世界の童話 35))

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金色の箱に入った、大判の童話全集。挿絵もカラーで、とてもきれいな本だ。
昔は、本を近所の本屋からとる、という制度があった。
本屋さんの配達の自転車が、キーと音を立ててうちの前に止まると、今月はどんなお話だろう、とドキドキしたものだ。
昔むかしのお話も、遠い知らない国のお話も、この全集で読んだ。(→ ガイコク本。)
読み聞かせの効用が喧伝される、はるか以前である。
自分でページをめくり、しげしげと挿絵に見入ったり、お姫様のつもりでセリフを言ってみたり、この本と長い長い時間を過ごした。
やがて、私の読むものが文庫本になっても、金色の箱はずっと、実家の本棚に並んでいた。
大人になってから、古書店で、同じ装丁の知らないお話を見つけて、驚いた。
あらためて見直すと、うちの全集には、ずいぶんと欠番がある。
おばーちゃんに理由を聞いても、なんだか歯切れが悪い。
推測だが、昭和40年代に定価390円は、我が家の家計には高価だったのではないか。
私が楽しみにしていると知りつつも、今月は要りません、と断ることもあったかもしれない。
飛び飛びの番号を見ていると、若いママだったおばーちゃんのエプロン姿が、目に浮かんだ。
すっかりくすんだ金色の箱のホコリを払って、実家から持ち帰り、時たま見つかる欠番を、ポツポツ買うようになった。
そして、最後の1巻。全50巻が完結したとき、私は50歳を過ぎていた。
今、この全集は、本棚の一番いい場所に、ずらりと並んでいる。

(最後の一冊、これが高かった!→「カロリーヌのぼうけん」 (オールカラー版世界の童話 35))

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うん、確かに高いです。
びっくりしました。
でもこれは高い安いの問題ではありませんね。
子供の頃の楽しみは毎月、届けられる鉄腕アトムでした。
何度も何度も繰り返して読みました。
へ~50巻全部そろえたんですか~執念ですね。
でもよくありましたね。
今度はお孫さんに、おばあちゃんが読んであげてください。
図書館で探してもらったら、昭和17年(23刷発行)の本だったので、バラバラにしないように、ビクビクしながらページをめくってます。
アマゾンで探して買うつもりです。
すてきな本を教えて下さって、ありがとうございました!
大阪の女は男尊女卑に唯々諾々と従いつ、じつは一目置かせている家庭内の実力者。
ダンナさんに美味しいもの食べさせ妻は粗食で我慢し、でも女同士お買い物に出かける日は豪華なお昼をいただいてた・・・
私とそっくり! クスクス♪
うちにもありましたがなんの物語だったかは思い出せませんが・・・
今思い出すと昔の絵本て結構絵が良かった。
どこの出版社かわからないけど不思議の国のアリスの結構しっかりしたハードカバー?の絵本がありましたが今手に入るなら買いたいくらい絵がよかったですね。
昔読んでた学研の図鑑とかも欲しいです。
今日の話も<ちょっといい話>ではなく<とってもいい話>ですね。
子どもに夢を持たせてあげたいというお母さんの想いが伝わってきました。
それを完璧な形に作り上げた<ぢょん でんばあ>さん!
最高です!
古書なので値段も色々で、でもあまり高く買うのは嫌なので、一万円以下になるのを待ったんですよ。
他の巻は数百円から千円台で買えたんですが、カロリーヌちゃんシリーズは人気が高いのです。
あと、他に一冊だけ妙にお高いのがあって、なぜかと思ったら、一話だけ安野光雅の挿絵がありました。
正直、全巻揃うとは思っていませんでした。
そんなに必死で探したわけでもなく、見たことないのを見た時、あまり高くなければ買う…を繰り返していたら、そろった感じです。
20年もやればできるものですね。
孫…できるかなあ?(娘の顔を思い浮かべる)
おもしろいでしょう?
うちの母や祖母なんかも、大阪女だなあ、と思うんです。
妹も母に似てそんな感じです。
私はがさつなので、細雪の世界には入れませんね~。
おお、お見覚えありますか!
挿絵画家の顔ぶれがほんとにすごいんですよ。武井武雄、高畠華宵といった大御所に、当時は新進気鋭の安野光雅、アニメの神様・森やすじまで。
今見てもうっとりします。
昔は図鑑の絵もよかったですよね。科学的考証は今の図鑑に劣るのかもしれないけど、なにしろ夢がありました。
褒めてくださってありがとうございます。嬉しいです。
そんなに立派なことを書いたつもりはないのですが、良いもの、美しいものを読み取ってくださる孝ちゃんのパパ様のお心のあり方が素敵です。
わたしも何度も何度も繰り返し読んだおかげですっかり覚えてしまい、おかげで学生時代の試験や受験の出題元がよくかぶり、古文漢文が読めずともスラスラと答えが書けたりしたので、ずいぶん得をしたと思います。
カロリーヌも大好きで、猫のプフとノアローを毎ページ目で追って画家の芸の細かさにひそかに大喜びした覚えがあります。
懐かしい、ほんと懐かしい。うちのはカバーは全部ボロボロになって捨てちゃったので、白い中身のまま押入れの奥にある30巻を出してみたくなりました。
そうなんですよ。煩雑になるんで本文では書きませんでしたが、最初に古本屋で見つけて驚いたのは、それが38巻だったからなんです。
どうも第1期に続き第2期、と、好評により続巻を出したみたいです。
初版の第一期はボール紙の金色の箱入りですが、のちになると箱がなくなり、代わりに箱と同柄のダストジャケットになったようですね。
出してみてください、今見ると、本当に絵がきれいですよ。印刷技術は向上してるはずですが、私は昔の絵本の色のほうが好きです。