オクッタ本。
今日4月23日はサンジョルディの日。スペイン、カタルーニャ地方に起源を発する、本を贈り合う日だという。
…という記事を、ちょうど一年前の今日、書いている。(→ ハンメン本。)
そして月日は巡り、一向に定着しないサンジョルディの日が、再びやってきた。
去年は、人に本をあげた経験はない、と書いたが、改めて記憶をたどり、一つ思い出した。
それははるか昔、典型的なバブル期の会社員として、寝る間も惜しんで働いていた頃。
将来の不安も、仕事への疑問も、忙しさに押し流され、ボーナスにごまかされて、次第に感じなくなっていた。
そんなある日、後輩のケイちゃんが、私の部屋にやってきた。
私… 会社辞めようと思うんです
柔らかいけれど真剣な表情。これは本気だ、と思った。
お金のためじゃなくて、人のためになることをしたいんです
スポーツ強豪校のレギュラーで、国体選手だった彼女。指導者として、途上国に渡るという。
驚いたが、否やはない。決意をたたえ、お餞別をしたい、と申し出た。
じゃあ、向こうで読むもの! 先輩、本が好きでしょ?何度も読めて面白いのがいいな!
人を助け、技を磨くことに一生をかける、そんな生き方を描いたものがいい。
考えた末、時代小説にすることにした。

(第一巻「殺しの四人 仕掛人藤枝梅安」)
本当は、同じ著者の「鬼平犯科帳」か「剣客商売」にしたかったのだが、いずれも20巻前後と巻数が多いので、7巻のこのシリーズにした。
7つの坊主頭を受け取った彼女は、ちょっと困惑していた。
ケイちゃんが旅立った後、私も会社を辞め、結婚して子供が生まれたころ、帰国の知らせをもらった。
家に招いて、赴任地の話など聞いていると、不意にこう言われた。
そうそう、いただいた本ですけど、あれにはホント、困ったわぁー!
え?困った?
食べ物がおいしそうなんですもん…
あ、そっかあ…
秋茄子とか、お酒飲んで大根の鍋とか、シジミ汁とか… 向こうじゃ絶対食べられないし!
それは申し訳ないことをした。
しかし、現地の数少ない日本人の間で、7冊の文庫本はぐるぐると何周も回覧され、ボロボロになるほど読まれたという。
いつも誰かが読んでて、返ってこないんで、向こうに置いてきました
坊主頭が印象的な、辰巳四郎装丁の文庫本旧版は、絶版になっている。

にほんブログ村

日記・雑談 ブログランキングへ

…という記事を、ちょうど一年前の今日、書いている。(→ ハンメン本。)
そして月日は巡り、一向に定着しないサンジョルディの日が、再びやってきた。
去年は、人に本をあげた経験はない、と書いたが、改めて記憶をたどり、一つ思い出した。
それははるか昔、典型的なバブル期の会社員として、寝る間も惜しんで働いていた頃。
将来の不安も、仕事への疑問も、忙しさに押し流され、ボーナスにごまかされて、次第に感じなくなっていた。
そんなある日、後輩のケイちゃんが、私の部屋にやってきた。
私… 会社辞めようと思うんです
柔らかいけれど真剣な表情。これは本気だ、と思った。
お金のためじゃなくて、人のためになることをしたいんです
スポーツ強豪校のレギュラーで、国体選手だった彼女。指導者として、途上国に渡るという。
驚いたが、否やはない。決意をたたえ、お餞別をしたい、と申し出た。
じゃあ、向こうで読むもの! 先輩、本が好きでしょ?何度も読めて面白いのがいいな!
人を助け、技を磨くことに一生をかける、そんな生き方を描いたものがいい。
考えた末、時代小説にすることにした。

(第一巻「殺しの四人 仕掛人藤枝梅安」)
本当は、同じ著者の「鬼平犯科帳」か「剣客商売」にしたかったのだが、いずれも20巻前後と巻数が多いので、7巻のこのシリーズにした。
7つの坊主頭を受け取った彼女は、ちょっと困惑していた。
ケイちゃんが旅立った後、私も会社を辞め、結婚して子供が生まれたころ、帰国の知らせをもらった。
家に招いて、赴任地の話など聞いていると、不意にこう言われた。
そうそう、いただいた本ですけど、あれにはホント、困ったわぁー!
え?困った?
食べ物がおいしそうなんですもん…
あ、そっかあ…
秋茄子とか、お酒飲んで大根の鍋とか、シジミ汁とか… 向こうじゃ絶対食べられないし!
それは申し訳ないことをした。
しかし、現地の数少ない日本人の間で、7冊の文庫本はぐるぐると何周も回覧され、ボロボロになるほど読まれたという。
いつも誰かが読んでて、返ってこないんで、向こうに置いてきました
坊主頭が印象的な、辰巳四郎装丁の文庫本旧版は、絶版になっている。

にほんブログ村

日記・雑談 ブログランキングへ

スポンサーサイト
サンジョルディーの日ですか~知りませんでした。
途上国で、日本の小説読めるんでしょうか?
それとも現地の日本人かな?
ちょっと不思議におもいました。
たぶん、ハズレ…かも。
図書館の方や司書さん、図書室の先生とお会いする機会は多いのですが、私自身はただの本好きです。
サンジョルディの日は、大昔、文庫本に挟まっていた出版社のしおりで見覚え、それがいつのことなのか、は、最近検索して知りました。
辰巳四郎の装丁は不気味ですが印象が強くて、昔から好きなんですよね。
在外の日本人、特にその人数が少ない地域では、サークルみたいにまとまっていることがあるんです。
後輩が行った国では、数えるくらいしか日本人がいなくて、皆さん顔見知りだったそうです。
東海林さだおも外国じゃつらいでしょうねえ。
池波正太郎とはまた違って、味の描写が不必要に細かい!
池波料理はまだあきらめがつきそうですが、東海林氏描くB級グルメは、罪が深いかもしれません。
確かに司馬作品で食べ物の印象ってあまりない気がしますね。
粗食を描いてストイックな人柄を表すとか、そっち方向だった気がします。
大村益次郎の豆腐とかね。
そして海外に行かれる方にずいぶん罪作りな本を送られたものです。
私なんて日本にいるのに「五鉄」にずいぶん食欲を刺激されましたから。
夜中に読んじゃいかん本ですよね。
私はお酒も飲むので、ヒジョーによろしくないのです。
そこに頭が行かなかったとは私も未熟者でした。