おにくの話。
今日29日は「肉の日」だという。
貧しい我が家では、だからといってお肉を食べるわけではないのだが、毎月29日が来るたび
ああ、肉の日か…
などと思ってしまうのは、やっぱりお肉が好きだからだろう。
22年前、私は初産を控えた妊婦であった。
予定日が近づき、いつ生まれてもおかしくない時期に、ブランド牛肉をいただいた。
ふだんはなかなか口にできない高級なお肉である。
どうやって食べようか、楽しみにあれこれ思案しつつ、大切に冷凍庫にしまった。
翌朝、未明に違和感を覚えて目が覚めた。
まぎれもない、陣痛だ。
まず頭に浮かんだのは昨日の牛肉のことである。
お産というものは、本当に何があるかわからない。元気な子供を抱いて、元気に退院できる保証はどこにもないのである。
あのお肉を食べておきたい、と思った。
さいわい陣痛の間隔はまだ30分はあるようだ。
急ぎ、スキヤキの準備をする。
関西人なので、割り下は使わず、鍋にヘットをしき、お肉を焼いて砂糖と醤油を入れる作り方である。
早朝の空気に、時ならぬ肉の芳香がたちこめた。
ブランド牛肉は美味しかった。夢中で食べていて、時折
イタタタタ…
陣痛が訪れると、その間だけ箸をおき、食卓の端をつかんで耐える。
その間隔は、食べ進むうちに確実に縮まっていき、ついに10分おきとなった。
担当医には、陣痛が10分間隔となったら入院するように、と言われている。
しかし、スキヤキのほうは、シメがまだなのである。
ウドン!ウドンを…!
その主張もむなしく、引きずるようにタクシーにのせられ、入院と相成った。
初産ということもあり、そのあと丸1日、うなったり苦しんだりのあげく、翌朝ようやく、標準よりかなりデカく、ムスメが生まれた。
オギャーと産声を聞いたときには、2人前は食べたはずのお肉はすべて消化され、お腹はペコペコ。
シメのウドンを食べられなかったから、かもしれない。
そのムスメが、間もなく22歳になる。
誕生日にはスキヤキでもしようかな。


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貧しい我が家では、だからといってお肉を食べるわけではないのだが、毎月29日が来るたび
ああ、肉の日か…
などと思ってしまうのは、やっぱりお肉が好きだからだろう。
22年前、私は初産を控えた妊婦であった。
予定日が近づき、いつ生まれてもおかしくない時期に、ブランド牛肉をいただいた。
ふだんはなかなか口にできない高級なお肉である。
どうやって食べようか、楽しみにあれこれ思案しつつ、大切に冷凍庫にしまった。
翌朝、未明に違和感を覚えて目が覚めた。
まぎれもない、陣痛だ。
まず頭に浮かんだのは昨日の牛肉のことである。
お産というものは、本当に何があるかわからない。元気な子供を抱いて、元気に退院できる保証はどこにもないのである。
あのお肉を食べておきたい、と思った。
さいわい陣痛の間隔はまだ30分はあるようだ。
急ぎ、スキヤキの準備をする。
関西人なので、割り下は使わず、鍋にヘットをしき、お肉を焼いて砂糖と醤油を入れる作り方である。
早朝の空気に、時ならぬ肉の芳香がたちこめた。
ブランド牛肉は美味しかった。夢中で食べていて、時折
イタタタタ…
陣痛が訪れると、その間だけ箸をおき、食卓の端をつかんで耐える。
その間隔は、食べ進むうちに確実に縮まっていき、ついに10分おきとなった。
担当医には、陣痛が10分間隔となったら入院するように、と言われている。
しかし、スキヤキのほうは、シメがまだなのである。
ウドン!ウドンを…!
その主張もむなしく、引きずるようにタクシーにのせられ、入院と相成った。
初産ということもあり、そのあと丸1日、うなったり苦しんだりのあげく、翌朝ようやく、標準よりかなりデカく、ムスメが生まれた。
オギャーと産声を聞いたときには、2人前は食べたはずのお肉はすべて消化され、お腹はペコペコ。
シメのウドンを食べられなかったから、かもしれない。
そのムスメが、間もなく22歳になる。
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アッパレな肝の座りようですわ。
特別な日のブランド牛!
これは一生涯記憶に残る出来事ですね。
ウチの母なんて、私を妊娠中、お祭りにでかけて屋台で、タコ焼きを食べていたら、産気づいて家にあわてて帰って、近所の産院へ行って産んだそうです。朝方早くです。
私も入院中、産婦人科だったので、半分以上が妊婦さんなんで、青白い顔してふらふらと歩く方は、もう生まれた後の方やなぁ~と、元気にふうふう言いながら歩いてる方はこれからやなぁ~頑張れ!と心密かに応援しておりました。
陣痛の時にすき焼きを優先できるその・・・その?その・・なんというか、言葉にならないのですが、色々すごいです(笑)
思わずコメントしてしまいました。
すき焼きを見るたびに、でんばあさんのこと、思い出しそう(笑)
22年前の思い出ですか~
それにしても陣痛のさなかにすき焼きですか~いや~立派!
そうですね~、娘さんの誕生日にでも、すき焼きをゆっくりお食べください。
私にもおにくの思い出あります‼
予定日の午前に検診、まだだねえと言われて帰りがけに匂いにつられて買った屋台のロティサリーチキン弁当。
自宅に帰り、さあ食べようというところで、陣痛。。。
何とか三分の一はいただいたのですが、耐えきれず入院、三時間後には赤ちゃんと対面。
人心地ついて真っ先に配偶者に頼んだのが残ったチキンの冷凍でした(^_^;)
ブランド牛肉を残したまま戦場へ向かうことなんて出来ません。
ウドンは残念でしたが、ここで切り上げたのもこれまた賢明なご判断でした。
攻める時は攻める、引く時は躊躇無く引く。
これが大切なんです。
さすが、ぢょん でんばあ様です。
ただ食い意地が張ってるだけで、アッパレとお褒めいただくとお恥ずかしい限り。
それにしてもおいしいお肉でした。その意味でも忘れられない出来事です。
お祭りのタコヤキも思い出深い味になりますね。
退院されるとお家のご飯が美味しいでしょう。早く元気になられますように祈ってます。
セレブではなく味オンチの私ですが、あのスキヤキ肉は本当においしかったです。
ふだん食べるなら、安い国産牛よりも、もっと安い輸入牛肉のほうが、味があって美味しいですね。
ステーキもおいしいですよね。
しばらく食べてませんが食べたくなりました。
いや~、初産の時は時間かかるかかるとおどかされていたので、かなり時間の余裕があると思っちゃったんですよね。
そんな変なことしたつもりはなかったのですが、この話をするとだいたい驚かれます。
「ぢょん・スキヤキ・でんばあ」と名乗ろうかな。
男性には想像もつかないでしょうが、陣痛の合間って本当に痛くもなんともなくて、ケロッとしてるんですよ。
マンガ読んでたって人とか、入院中のご主人の食事を作ったという人も知ってます。
おやおや、お肉友達発見!嬉しいな。
ちなみに私、下の子の時はお蕎麦屋さんのカツ丼でした。もちろん完食して入院しました。
私自身はうどんを食べるつもりだったんですよ。
スキヤキのあとのウドンは本当においしいですからね。
あの時のウドンは本当に惜しかった。今でも思い出します。